Web会議は議事録の作成で有利 良質な音声で文字起こしを効率化
Web会議を手軽に開ける時代になりました。わざわざ時間とお金をかけて一カ所に集まらなくても、顔を見ながらの打ち合わせをすぐに始められます。テレワークに対応するだけでなく、議事録を作る上でのメリットも大きいので、要注目です。
目次
1. テレビ会議より機動的 無料で使えるシステムも
Web会議は、離れたところにいる人同士が相手の姿を見ながら打ち合わせをできる点で、昔からあるテレビ会議と似ています。
ただし、かつてのテレビ会議が高額なシステムと専用機器のある会議室などの拠点でしか利用できなかったのに対し、Web会議はPCやタブレット、スマートフォンなどインターネットに接続できる端末があれば、自宅からでも自席からでも、居場所を問わず参加できます。
初期投資や維持経費も、従前のテレビ会議システムと比べて桁違いの安さです。無料で使えるものもあり、時間や機能などに制限はありますが、規模の小さな打ち合わせであれば、試してみる価値は十分あります。
そして、議事録の作成も、Web会議にすれば効率化できる可能性があります。この観点から注目したいのは、打ち合わせの一部始終を簡単に録画・録音できるレコーディング機能です。従来のテレビ会議でも録画・録音はできましたが、Web会議は何が違うのかを見ていきます。
2. 議事録の作成との親和性 便利な機能が満載
Web会議にはレコーディング機能による録画・録音だけでなく、資料の共有やテキストでのチャット、字幕生成、翻訳などの便利な機能が実装され、どんどん拡充されています。参加者の端末に備わっているアプリの機能も存分に活用しながら、やりとりの理解を深めることができるので、昔ながらに資料が紙で配られる会議が物足りなく感じるほどです。
それをレコーディング機能で記録したものは、音声の録音だけに比べると情報量が格段に増えます。このため、文字起こしして議事録を作る際、専門用語や聞き取りにくい部分を推定したり、同音異義語の誤変換を防いだりするのにも大いに役立ちます。
Web会議システムのなかには、議事録を作成するエディターつきのものも既に実用化されています。人工知能(AI)による音声認識でリアルタイムに自動生成された文字列を、会議の参加者がその場で、もしくは事後に録画・録音を再生しながら修正できる仕組みです。このことからも、Web会議は議事録作成との親和性が極めて高いことがうかがわれます。
3. 文字起こしに適した音声を収録できる
Web会議でも議事録を作るには文字起こしを避けて通れません。文字起こしの効率を左右するのは音声の質です。音声を文字起こしに適した良質な状態で集音・録音し、人間なり音声認識AIなりが認識しやすくすることが大前提になります。
文字起こしの対象となる音声の集音・録音にはマイクを使います。文字起こしに適した音声を拾うには、マイクが各参加者の口元に一つずつあることが理想的です。
参加者が一カ所に集まる会議を開く場合、人数分のマイクをはじめとする機材を揃えるのは大変です。設備投資が必要ですし、会議前の設営、会議後の撤収も時間と手間がかかります。そうした余裕がない場合、1台の録音装置で何とかしなければなりません。
ただ、このやり方では、録音装置のマイクから遠い位置にいる人の音声は小さくなってしまいますし、天井や壁に反射すれば不明瞭なものとなりがちです。加えて、資料をめくる紙の音、話者以外のつぶやきや咳払い、空調の吹き出し音といった雑音の混入にも悩まされることになります。
これに対し、Web会議の参加者は、各自の端末に内蔵(または接続)されたマイクを通して発言するため、口元とマイクの距離が近く、音声は比較的明瞭です。発言者以外はWeb会議システムのミュート機能によって自身のマイクの音を消すルールにしておけば、余計な雑音が混入したり複数の話者の音声が輻輳したりすることも防げます。
このようにWeb会議システムでは、議事録用の文字起こしに適した良質な音声を、録音装置を使わずに、しかも映像つきで、簡単に保存できます。Web会議の参加者としても、目の前にICレコーダーなどが置かれたリアルの会議とは異なり、録音されていることを意識せず会議に集中できるので、メリットは大きいといえるでしょう。
4. Web会議の文字起こしを省力化するには
良質の音声を収録できたら、文字に起こして会議録に仕立てなければなりません。文字起こしは自体は創造的な仕事ではないため、ここを省力化できないと労働生産性を著しく低下させてしまいます。
Web会議の文字起こしを省力化する方向性としては、
- リアルタイムでの議事録作成支援機能があるWeb会議システムを導入する
- Web会議を収録した音声を、音声認識システムで文字に起こし、議事録に編集する
- 文字起こしの専門業者に外注し、指定した仕様通りの議事録に仕立てもらう
といった選択肢が考えられます。
どれを選択するかは、文字起こしに関する限り、
- 文字起こしを自動化する初期投資およびランニングコストと、外注費との兼ね合い
- 文字起こしや議事録作成に割けるマンパワー
- 議事録を完成させるまでに要する時間
- 話者の話し方や音声の質(AI音声認識に最適化できるかどうか)
といった着眼点を挙げることができます。
選択肢のうち、ほぼ完全に省力化を実現できるのは、現時点では専門業者への外注だけです。
費用対効果の考え方に関しては、当コラム掲載の記事「議事録の文字起こしを外注してWeb会議のメリットを最大に」でさらに検討していきます。